はじめに
 
  私がキッズゲルニカを初めて知ったのは、もう10年ほど前になる。「日本子ども版画の会」の狭い会場で、 元小学校教師の細田和子さん(現在版画家)が、大きな版画を広げて、楽しそうに実践報告をされた。
 しかしその内容はすばらしいものだった。小学生の力でこんなにも大きな作品が作れるものなのか。また、もっと驚いたのは、キッズゲルニカの製作活動で子どもたちが大きく育つということ。
  
 そして平成15年度の図工教科書5.6年生(下)の裏表紙に、広島の子どもたちが制作した、キッズゲルニカが載っていた。私は目を引かれ、 「キッズゲルニカ」について公式ホームページで調べまくった。
  すごい!世界中の子どもたちが取り組んでいる。版画でも絵でもいいのか。鑑賞教材として、共同制作として、十分価値ある題材だ。いや平和学習としても活用できる。
    
 その時のYUGE小学校の総合的な学習は6年生のテーマは「国際・平和」。熊本ではまだ生まれていないキッズゲルニカ。できる!やれる!図工・総合的な学習の時間を中心に「キッズゲルニカ」の制作に取り組むことにした。同僚の先生達も賛成してくださった。

  さて、肝心な子どもたちは-キッズゲルニカのホームページを紹介したりしながら、1学期に少し話をしてみた。だが、「今ひとつ」の感触。まあいい、最初からうまくいくものじゃない。だが、どうにかして、この題材を成功させたい。どうすればいいか・・。構想を練った。作戦を立てた。
   
  そして、2学期になり、本格的に「YUGEキッズゲルニカ」がスタートした。
  
    そのあとの様子は、 「キッズゲルニカプロジェクト1」を読んでいただければ分かる。
   ただ、このプロジェクトが作品完成で終わらず、新たに発展していくとは、その時には、
   思いもよらなかった。しかも、キッズゲルニカから新たなプロジェクトへとつながっていった。
    
       このサイトは、最初は、制作する子どもたちを主役に、実践をまとめていったつもりだった。だがいつのまにか「YUGEキッズゲルニカ」が主役となって更新が続いている。そしてこの「YUGEキッズゲルニカ」の おかげで、たくさんの人たちとの出会いがあったことも感謝したい。
                             平成20年4月11日 西尾 環