ART FRIENDS |
「図工サークル実践記録 平12年度」に掲載 |
前 書 き |
本年度も、サークルで(図工友の会)で、いろいろと勉強させていただきました。 家庭の事情で、何回か参加できませんでした。その時はとても残念でした。ただ、本年度は、村上先生・松島先生に誘われて、夏休みに、版画の会全国大会に参加しました。東京でのその時の体験がとても心に残りました。版画にはいろんな表現方法があるのだということや、全国にはすごい先生方がたくさんいるのだということを知りました。それと同時に、我々教師は、版画を通して図工を通して、子どもたちをどう育てるのかということについて、しっかり考えなくてはいけないなと思ったものです。 2学期になってから、図工で版画の授業に取り組んでみました。自分なりに工夫してやったつもりですが、うまくいかないことも多い日々でした。まだまだ、指導力が不十分で勉強不足を常に痛感しています。学校での実践を伝えることによって、みなさんからいろいろご指導をしていただきたいと思っています。 |
P1 | 切り紙版画「弓削とわたし」 1 ねらい ○自分と地域の関わりに気づき、自分の住む地域のよさを見つけ、ふるさとを大切にしていく子どもに育てる。 ○自分の思いを豊かに表現し、表現する喜びを味わう。 ○版画のいろんな技法を身につけ、版画に表す楽しさを味わう。 2 子どもの実態 ・弓削小学校6年1組 児童数は23名。 ・学級の半分は4年生時からの担任。 ・体育や総合はすべて学年合同で授業を行っている(計46名)。図工も担任同士が 相談しながら、ほぼ同じ内容で行っている。時々隣の学級の指導もした。 ・切り紙版画については、4年生の時一度経験している。(ただし学級の2名はその後に転入したため、未経験)6年生でも、この学習に入る前に、切り絵の学習をした。(1時間) ・図工の授業は好きな子が多い。7月にとった総合的学習のアンケートの表現活動に 関する質問の中で、「絵をかいたり物を作ったりすることは好きですか」に対しては、以下のような実態だった。(ただし6年生全員) ◎とても好き 25人 ○まあまあ好き 13人 △あまり好きではない 8人 ×きらい 0人 3 方法 (1)総合的学習と関連した図工科の学習を行う。 (2)子どもが、楽しく進んで学習を進められるように支援環境を工夫する。 (3)白黒の切り紙版画を作成し、その版を生かしたステンシル版に応用する。 |
P2 | 4 実践 (1) 学習の導入と題材発見 @ 6年の総合的学習単元「過去から未来へ続くメッセージ〜ふるさとの文化と伝統のすばらしさ〜」の導入で、弓削校区の1町内行事として弓削神宮で行われている「願解すもう」という行事の映像を見せた。(すもう当日取材にいって、ビデオに撮ったものである。6年生の子どもたちも何人か参加していた) その時の授業で神宮の総代を務める地域の方にも授業に来ていただき、話もしてもらった。かなり昔から続いている伝統行事と言うことに子どもたちは驚いていた。その学習後に、図工「弓削とわたし」の導入を行った。 A 「願解すもう」や他の地域行事、弓削の特色などを出し合いながら、弓削のよさに気づいていった。そして、自分が関わった弓削のよさや、自分が見つけた弓削のよさ、遊びで感じた弓削のよさなどを、みんなで出し合い話し合った。そして、それらの中から、自分が表現してみたい題材を選んでいった。それら以外からも、自分で、弓削と自分が関わる題材を見つけた子もいた。 (2) 下絵書き 自分の表したい弓削のよさをどこにどう表すのか、どこに自分がいるのか、自分 の思いをどうえがくのか、子どもが考えながら下絵を書けるように支援していく。 @ 段階的なスケッチ 「超ラフスケッチ」から「ラフスケッチ」そして「ていねいスケッチへ」へと段階をふまえて、構図を考えていく。 A 参考作品の掲示 自分たちが4年生の時の切り紙版画作品、他の小学校の高学年児童の切り紙版画作品、ふるさと熊本のよき風景を切り絵で表してある神宮司さんの作品を掲示しておく。 |
P3 | (3) 切り紙版画の手順・資料の掲示 切り紙版画の基礎基本を身につけること、子どもが自主的に学習を進められるようになることなどをめざして、自作の掲示資料を作成した。例として使用した版画は、同級生の4年生の時の作品である。 授業ごとに掲示板に説明部分を貼りながら学習を進めていく。遅れている子も、あとで、それを見ながら作業を進めることができる。 【切り紙版画の手順(自作資料)】 |
P4 | (4)授業の様子(学級通信から) |
P5 | (5) 多色のステンシル版画への応用(3学期実施) ・白黒版画の時の版を利用して。 ・黒色の工作用紙を使用。 ・スポンジを使って色つけ。 ・水彩絵の具で水を少な目に。 ・1枚完成するのに約2時間。 ・絵の具がはげるものがあったので、2度目は合成のりを混ぜてみた。 ・水やのりの混ぜ具合が難しい。 ・白黒版画とはまた違った味が出る。 ・白黒版画では、ぱっとしなかったのに多色で生き生きとした作品があった。 (その逆もあり)子どもの興味も二手に分かれる。 |
作品 |
同じ絵でも白黒とカラーの2種類ができました。 RS君の作品です。 |
あとがき | 6年生ということで、今、卒業に向けて忙しい日々を送っています。 卒業記念として、版画カレンダーの制作を行っている最中です。これまで 作ってきた作品の中から12枚(12人の作品)でひと綴りにし、来年度の カレンダーにしているところです。 絵はデジカメで取り込んで縮小印刷しますが、文字(月・日・曜・タイトルなど) は、消しゴムで作った版です。卒業生個人個人と、学校に数点記念として残す予定 です。 |